テントは長い間駆動性、耐久性、快適さに優れた住居として扱われてきましたが、定住生活を行う人口が増加するにつれて住居としては使用されなくなりました。しかし先ほど挙げた駆動性、耐久性、快適さなどの利点から、軍事用やキャンプ用に使用されるようになりました。現在のようにイベントや軒先の雨よけとして使用され始めるのは戦後と言われています。
高度経済成長期を迎えた日本には、商店街が軒を連ねそこに取り付ける日よけや雨除け用のテントの需要が拡大しました。当時は全国に5000~6000店ほどテント業者が存在していたそうですが、大型ショッピングモールなどの大規模な商業施設の登場により個人商店が減少、これに伴い多くの業者が廃業の道を辿りました。今でも就業を続けているのは2000店ほどで、ピーク時の約半数に激減しました。
一方、テントの需要は根強いものがあり、現在は耐久力の強い倉庫用、ショッピングモール・学校のイベント用にデザイン性が高く、カラフルな色合いのものが広がっています。災害時の一時治療にもテントは活躍しており、錆びにくい加工をしたもの、防炎生地を使用したものの需要が高まっています。