学校や町内会のイベントの必需品と言える集会用テント。集会用テントは私達にとって身近な存在ですが、その歴史はとても古いものです。テントの歴史は新石器時代に遡ります。それまで人類は洞窟を住居としていましたが、氷河期が終わると同時に狩猟採集生活が始まり、遊牧民が登場しました。
テントは彼ら遊牧民族の持ち運び可能な家として誕生したのです。遊牧民族は一カ所に定住せず、獲物を求めて住居を移動する生活様式のため軽量で強く、持ち運びが簡単なテントが必要だったのですね。旧約聖書の創世記や出エジプト記にもテントは登場し、そこにはテントを設営して居住空間としたり、祭礼に用いたりする人々が描かれています。
また、"テント"の語源はラテン語の“tentus(伸ばした、保持している)”と言われています。同じ語源からは英語のtension(緊 張)、、tenant(借用人、保持者)も派生しています。tensionの「ピンと張った感じ」やtenantの「ずっと持っている人」といったイメージがテントと結びついています。また語源のtentus自体は現在、破傷風を意味する医学用語として使われています。破傷風の症状である筋肉の痙攣に語源のイメージがぴったりだったのでしょう。このように、テントの歴史は人間の生活の側面とあらゆる場面で繋がっているのです。